Illuminations / Pluto   イリュミナシオン/冥王星
 
 

 

1. Shaman`s Fingertip 10:02 Sample
2. Plateaux Early Spring 7:34 Sample
3. Wild Lilies 5:58 Sample
4. Tokyo 5:31
5. Rainbow Canopy#4 8:31
6. Utsuho#2 10:34

 
 
 

6 Tracks / 48:10
ame006
10th Jan. 2006
Digipak / including Kazuya Nagaya`s Essay
Artwork by Kowji Miyabe
Photography by unknown, "19th century in Canada"

 
 
 

2005年春から秋にかけて制作された通算7枚めのソロアルバム。
1曲め Shaman`s Fingertip や6曲め Utsuho#2 では、これまでの作品にはなかった音響作品的なアプローチが聴かれ、今後の新たな方向を予感させている。
余韻を響かせる静寂や、音を削ぐように磨きあげてゆく手法が、これまでの作品以上に完成され、美しい。

深く、どこまでも深く響きわたり、
やがて澄んでゆく谺のような音たちと、
冴えわたる余韻。
満ちてゆく静寂。
そして、
静寂から立ちあがる、
力にあふれた音。

デビュー作「うつほ」から7年。さらに力強く繊細に転回する長屋和哉の音の世界が広がる。
凛々たる鐘の音色に彷徨い、微細な旋律の震えに耳を澄ませば、やがて虚空へと運ばれる。

 
 
 

Illuminations/Pluto by Kazuya Nagaya

              ☆

 イリュミナシオン。暗闇に瞬く燐光の群れ。あるいは煌めくような啓示。
 またはフランスの詩人アルチュール・ランボオの未完の詩集のタイトル。ランボオは、キリスト教や道徳などすべてのヨーロッパ精神に飽き果てて、灼熱のアフリカに渡った。彼はそこで、砂漠の武器商人となった。キャラバンを編成して、砂漠を横切る詩人。
 そして冥王星。
 冥王星は、太陽系を廻るもっとも外側に位置する惑星。その軌道は安定せず、ひとつ内側の海王星の軌道を横切ることさえある。それはまるで太陽の重力との永遠の闘争をしているかのようだ。冥王星は、太陽系というひとつの系列、システムから逃れ、大いなる自由の荒野、外宇宙へ飛び出そうとしているかのようだ。
 それは、宇宙におけるアフリカのような場所。そう、宇宙の、灼熱の、アフリカへ。

               ☆

 われわれは、それぞれがひとつの冥王星である。

               ☆

 僕たちの生命が、そうなのだ。
 生命とは、飼い馴らされることのない野性の馬のようだ。広大な平原にばらまかれた野性の馬たち。美しい群れ。強靭な魂。そして、野性の霊感。研ぎ澄まされた霊感。
 三万年もの古代、ヨーロッパの洞窟壁画に描かれたシャーマンたちの絵は、下半身が人間、上半身が野性の獣の姿で描かれている。シャーマンたちは変身し、動物になるのだ。みなぎる野性の霊感をたぐりよせて。
 あらゆる宗教がまだなかった時代、始源の霊性、スピリチュアリティはこのようにしてあった。人間を野性の動物で充填するものとして。
 そして、野性の馬の、みなぎる生命の霊感として。
 野性の馬にプラグインせよ。

               ☆

 生命は、系列ではない。
 それは平原にばらまかれた野性の群れだ。灼熱の砂漠のライオン、ユーラシアの青き狼、そして闇のなかを疾走する鹿の群れ。アジアの高原を駆け抜ける黒い馬、白い馬、黒い馬。山脈をなぞるバイソン。砂塵を舞い上げる恐るべきバッファロー。気狂いバッファロー。夜をめぐる姿なきコヨーテの群れ。盗賊の犬たち。イーグルの急降下。そしてふたたび野性の馬たち。駆けてゆく一群。
 見よ、彼らの野性を。