Lost for Words by Kazuya Nagaya
沈黙のひとしずくが
広大な海へ 流れ落ちるとき
海はこぼれ あふれるだろうか
遠い海へ したたるとき
深い水底は 震えるだろうか
静寂のひとしずくが
あざやかな祈りのように
ただひとつの願いのように
海のすべての水を
海のあらゆる波を
抱きしめるとき
わたしは 夜明けの汀で
涙を流すだろうか
かがやく樹木のあいだをぬって
砂丘をたどる
髪をたばね 海のあてどなさに
言葉を失い
やがて汀に ひざまずくとき
海はこぼれ あふれるだろうか
せめて波は 優しいだろうか
海にそそぐ
沈黙のひとしずく
海に流れる
満ちたりた悲しみ
沈黙の
ひとしずく
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